友人が主宰する作家さんのイベントに行った。目黒のチャームアパートメントというカフェで作家3人の作品を展示販売していた。一人は木工職人のstudio tree田島さん、もう一人はマクラメ作家の丸山さん、そしてもう一人は靴職人の上野さんだった。
近頃の僕のテーマは、「豊かな暮らし」。
人の幸福感に直接影響する大きなテーマなのに、なぜか捉えどころなくいつもモヤモヤとしている。豊かさってなんだろう?そんなことのヒントをこの作家さん達に感じることができた。
ビジネスといえば、色々カッコよく言っても結局は効率よくスピード感を持って多くの利益を上げる事が一番の目的だろう。確かにみんながそうして働いてきたお陰で世の中は便利になり暮らしやすくなった一面もある。でもどうだろう、それで本当にみんなが豊かな暮らしになったのかと考えると・・・、うーん、そうでもないような気もする。
どうしてなんだろう。便利なんだから豊かになるはずなのに、ならない。むしろ僕らは時間に追われますます忙しくなり、変な病気とかにもなってしまっている。
納期はなんと一年! そして同じ場所で手渡し!
特に驚いたのは、靴職人さんの上野さんだった。(はきもの工房うえの)
そこには、皮で丁寧に作られた靴が並んでいた。奇をてらったデザインではないが履き心地が良く、何とも言えない味わいがあった。
彼は岡山県に本拠を持ち、そこで靴作りをしている。そして店舗を持たず全国にある展示会場を年に一回巡り直接ひとに会い、話しを交わし、丁寧に説明をし販売をしている。そして注文を受けると、その人の足の悩みや姿勢や性格まで何気ない会話の中で聞き取り採寸をする。
彼曰く、作るのにその位の時間が欲しいから、そして送るのは嫌で、とにかく直接手渡しで目の前で履いてもらいたいということ。そしてまたその後も同じ場所で靴のメンテナンスも受けるというスタイル・・・ある意味ありえない。時代に逆らい過ぎ!でもなんて丁寧で真摯な人なんだ・・・脱帽だった。
大量消費社会の中、今自分が使っているもの、作っているものが、誰が作り誰が使うということを知って仕事をしている人はどれだけいるのだろう。僕らは盲目にお金を稼ぐという目的のためだけに時間を削りお金を使っている。それが便利な暮らしなのかもしれないが、多分心は全く豊かにならないことに気づかないといけないかもしれない。
豊かさって結局、人と人の関係、心と心の繋がりなんだろうか・・・
今の自分の仕事を振り返り、自分が本当に豊かに生きるためには、しっかりお客さんと向き合うことを怠ってはいけないこと。身が引き締まる思いだった・・・