リノベーション会社|フィールドガレージ

FGシンキング

「20年やってもまだまだ飽きない」住宅リノベ開拓の歴史と尽きない情熱【代表:原インタビュー前編】

スタッフ・早(SAKI)が個人的にやっているポッドキャスト番組『みねさき家ラジオ』にフィールドガレージ代表の原がゲストで登場。会社の創業のきっかけ、20年前から現在までのリノベを取り巻く時代の変化、原さんの家づくりに対する熱い想いをざっくばらんにお伺いしました!

▼音声で聞くにはこちらから

始まりは自宅DIY! 20年前のフィールドガレージ創業期

早:原さん、本日はよろしくお願いします!まず、フィールドガレージの紹介と原さんの自己紹介をお願いできますか?

原:はい。フィールドガレージ代表の原と申します。

フィールドガレージは2004年から個人の会社として始めました。もう20年ぐらい経っていますね。元々は設計事務所として、住宅の設計などをやっていました。そこから徐々に工事なども手がけるようになって、全体的な住宅リノベーションのサービスをやる会社になってきました。

私個人としては、元々建築の学校を卒業していて、最初はアトリエ系の個人設計事務所でずっと働いていました。当時は、お医者さんとか、いわゆる富裕層の方向けの高級住宅、RC(鉄筋コンクリート)の設計ばっかりをやっていました。

早:ありがとうございます。バリバリの高級住宅を設計されていた原さんが、どうしてリノベーションを始めようと思ったんですか? 職場のハイエンドな案件と、ご自身の生活とのギャップがあった、みたいな話をブログで読んだ記憶がありますが。

原:そうなんですよ。結構、職場ではハイグレードな設計をしていた私が、どういう生活をしていたかというと……すごい給料が安かったもんで(笑)。

住んでいたのは、安い木造の賃貸だったんです。全然きれいではないのに、内装も好きにできないし、ものすごい不便に感じていて。自分はいいデザインの仕事をしているはずなのに、「自分自身の暮らしってどうなんだろうな」とか色々思いはじめてしまった。

自分のお家が欲しいなって気持ちになったんですけど、そんな安い給料で注文住宅なんて絶対できるわけないし、無理だなって諦めていたんです。でも、ふと「もしかしたら中古のマンションなら結構安く売ってるから、手に入れられるかも」という発想になって。

早:なるほど。

原:近くで探したら安いのがあったんで、申し込みしてみたらうまくいって。それで、工事費はなんとか捻出して、ほとんどDIYでリノベーションをして家を作った、っていうのが私の生活体験として原点にあるんです。

早:すごい、先見の明がめっちゃありますね。今でこそリノベは当たり前の選択肢だけど、20年前って言ったら、みんな新築買ってたみたいな時代ですもんね。

原:そうですね。

ラフなデザインが新しかった、2000年代の住宅業界

早:当時、「住宅のリノベーションをやります」という会社って周りにあったんですか?

原:ほとんどなかったですね。ただ、僕も設計の仕事をしながら業界の情報を見ていて、チラチラと中古のマンションをかっこよく改造して販売する会社が出てきていたんですよ。僕が最初に知ったのはブルースタジオさんっていう会社さんです。

そこは、賃貸や不動産も絡めて、内装、賃貸、売却、全部やります、というサービス展開をしていて。そこで「リノベーション」っていう言葉を使っているのを知って、「ああ、そうなんだ」と。

今でこそ当たり前ですけど、コンクリートむき出しの空間に住むとか、ああいうのをデザインとしてやってて、「これ新しいな」と思って。これだったらお金がなくてもかっこよくできるよな、この業界面白いかもっていうのがきっかけですね。

早:なるほど。「自分の好きな暮らしを実現するために手作りでなんとかしよう、お金をかけなくてもかっこよくなるデザインをつくろう」という発想がスタートだったんですね。

集客はネットで、手作りWebサイトが「リノベーション」で検索上位に

早:当時、どうやって集客されてたんですか?

原:お金がなかったので、広告出す費用がないんですよ。当時はまだ雑誌が主流で、ネットはまだYahoo! しかみんな知らないような時代。だから自分でとりあえずホームページを作って、「リノベーション」ってやってる所があんまないから、このニッチなキーワードで頑張れば上位に入るかも、と思ったんです。

頑張ってホームページ作りをして、「リノベーションといえば」みたいなことを自分で言っちゃったり。そうしていたら、だんだん上位検索の方に入ってきて。少ない事例ですけど、それをちょいちょい出したりしてたら、少しずつお客さんから問い合わせが来るようになりました。

早:集客はインターネット経由で頑張ったんですね。

原:そう。何もやることわかんなかったんで(笑)。

早:たしかに、2000年代の半ばはまだ頑張ればニッチなキーワードの検索トップが取れた時代な気がします。フィールドガレージが「リノベーション」という言葉を開拓したんだっていう感じですね!

原:そこまでは言わないけど(笑)。ま、ちょっと普及に貢献したかもしれないですね。

リノベが一般的になったのは、ここ10年のこと

早:近年は「みんなリノベーションやってるな」っていう雰囲気で、かなり当たり前の選択肢のひとつになったと思うんですけど、こうなったのって体感としていつぐらいからですか?

原:今から10年ぐらい前からは、結構たくさん会社も出てきて増えてきたかなって感じがありますね。

早:この10年で中古市場が大きくなったり、新築も昔より建てない方向性になってきた、みたいなことなんですかね。

原:うん、そうね。住宅価格も高くなってきたし、中古市場も大きくなってきた、あともういい立地がなくて、新しいマンションも建てにくい状況になってきたのかなっていう。

早:なるほど。「建てられないから、あるもの使おう」みたいな感じなんですかね。

原:そう、そう。

早:あとは、SNSなどが普及して、海外の情報に刺激を受けるようになったからというのもあるんでしょうか?

原:そうですね。昔から海外ではそういう事例がありますね。ヨーロッパの古い都市だと建て替えなかなかできないんで、それをリノベーションして暮らすって普通で。ニューヨークとか、ブルックリンの倉庫みたいなものを丸ごとリノベーションしてクリエイターが住む、みたいなライフスタイルなんかも、紹介されてきたりしましたね。

早:そういう情報が増えて、「古い中古も結構かっこいいじゃん」っていう概念がちょっとできてきたみたいな。

原:そうそう。価値観の変化が大きかったですね。

早:原さんのデザインの好みというか、大枠のスタイルは、ずっと変わらずに来ているんですか?

原:うん。ラフな感じのものは、僕はずっと好きですね。

早:RCの高級住宅などに見られる、チリ一つ見せないようなミニマルで緊張感のあるデザイン。「建築」っていうとああいったシンプルな方向を目指す方が多いですよね。あれはあれでかっこいいと思うんですけど、原さんはそれとは違って、荒さや自然な感じのあるデザインに向かっていますよね。どうしてなんでしょう?

原:ミニマルなデザインも、無駄をそぎ落としていくと緊張感のあるかっこよさに仕上がるので、それを追求するのは面白いと思います。ただ、本当にミニマルさを成立させようとすると、分厚い石や本物の無垢材といったすごく良い素材を使う必要がある。施工精度も高くないといけなくて、実はけっこうコストがかかるんです。

早:たしかに。「何もない」を高いクオリティで作り込む感じですよね。

原:そうそう。でもそれを安い新建材やビニールクロスで真似すると、どうしてもチープになってしまう。だったら逆に、素材の荒さや自然な味をそのまま見せた方が、お金をかけすぎなくても雰囲気のある空間になる。そういう方向性に惹かれていったんだと思います。

早:なるほど。荒さを残しても、むしろかっこよくなるように。

原:そう。例えばコンクリートの打ちっぱなしも、一見仕上げを省いて安く見えるけど、実際は分厚く打たなきゃいけないし、型枠にもお金がかかる。施工難易度も高いから、それなりにコストはかかるんです。

早:仕上げしてないから安い、ってわけじゃないんですね。

原:そうなんです。だからこそ、剥き出しにしても「かっこよく見える」素材を選ぶのは大事で、そういう工夫で自然な空間が生まれると思っています。

設計担当はどこまで作り方をわかっているべき?

早:ちなみに、原さんご自身がDIYをかなりしてると思うんですけど、それは会社をやり始めて自分の家を作ったところからなんですか? その前から作ったりしていたんですか?

原:いや、なかった。必要に応じてやり始めた感じです。

早:建築って設計する人と作る人がきっちり分かれてるじゃないですか。やっぱり、設計の仕事をしていると、基本的には作ることにはタッチしないものですか?

原:そうだね。建築系の設計は、図面書くだけなので。

早:なるほど。つくるところがわからないで設計するのって、かなり難しいなと仕事を始めてみて思っているんですが……。そのへんの勘所ってどうやって身につけるんでしょうか?

原:どうしても現場のことはわからないので、いざ作るってなったときに「どう作るんだろう」というのは起こりがちですね。現場の職人さんに「そんなの手が入んないよ」とか「運べないよ」とか言われたり(笑)

だけど、設計は「こういうデザインにしたい」っていうのをまず作って、どうやって作れますか、って現場に相談していくという感じですね。ま、難しいっちゃ難しいけど、そうやっていろいろ経験して、「じゃあこれならできるかな」みたいなところに到達してくみたいな。

早:なるほど。できないかもしれないけど、でも理想はこういう風にしたいというのをまず打ち出すのが大事で。

原:そう、そう。そういう役割分担が必要ですね。そうしないと、クリエイティブなものって生まれない。作る側だけだと、どうしてもやったことあることばかりやりたくなっちゃうからね。

やったことがないことだらけで、まだまだ飽きない

早:この4、5年ぐらいのリノベを取り巻く環境で、「昔とこういう風に変わったな」とか思うことありますか?

原:そうだね。近年はまたちょっと作り込みする感じが増えてきたかなっていう気がする。装飾的なものを取り入れていく流れがありますね。

早:以前は「リノベーションといえば、コンクリート打ちっぱなしの天井」みたいな、共通のデザインの雰囲気がありましたよね。最近はそれ以外の方向性のものもかなり増えているなと思います。

原:ミニマルなだけじゃなくて、ヨーロッパ的な感じを完全に再現したような雰囲気を作り込むとかもあるよね。インテリアのデザインの方向性が結構多様になってきたかな、っていう感じはしますよね。

早:まさに私がやりたいインテリアはそんな感じです。

では最後の質問ですが、20年間、ずっとリノベで家を作り続けているじゃないですか。ぶっちゃけ、飽きてこないんですか?っていうのが気になって。私はまだ始めたばっかりなので面白いですけど、20年経ったらどうなんだろう? と。

原:いや、面白いじゃん

早:(笑)

原:だって、全然まだわかんないこといっぱいあるし。自分のやったことないこと、やっぱりたくさんあるので。「そういうのってどうやってつくるんだろう?」とか、「どこに頼むんだろう?」とか、常に刺激は受けていますね。物づくりが好きなので、そういうことをずっと考えたり見たりするのが大好きです。

早:20年やっても、まだまだ作り尽くせない。たくさん可能性が広がってますね

次回、PART2では原さんの伊豆・下田での二拠点生活について聞いていきます。仕事と遊びの境界なく人生を楽しむ「ライフスタイルリノベーション」とは? お楽しみに!

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