住宅設備不足は本当に起きていたのか? 〜ナフサ問題のその後〜

こんにちは、フィールドガレージ代表の原です。
先日、このブログで住宅設備の原料となるナフサ(石油化学原料)の供給不安についてお伝えしました。
中東情勢の緊迫化を受け、
「住宅設備が入らなくなるのでは?」
「リノベーション工事が遅れるのでは?」
というご相談もいただいていました。
あれから数週間が経ちました。
現在の状況を確認すると、TOTOをはじめ主要メーカーの供給体制は大きく改善し、多くの商品で通常運転に戻りつつあります。
では、あの騒動は何だったのでしょうか。
今回はその後の状況を整理しながら、住宅設備不足について考えてみたいと思います。
まず結論から
現時点では、
リノベーションを検討されている方が過度に心配する状況ではなくなっています。
主要メーカーの受注・出荷状況は改善しており、一時期のような混乱は落ち着きを取り戻しています。
もちろん世界情勢による影響を完全に予測することはできません。
しかし少なくとも、
「設備がまったく入らない」
という状況にはなっていません。
本当にナフサ不足だったのか?
今回の騒動の発端は、中東情勢の悪化による原油価格上昇とナフサ供給への懸念でした。
ナフサはユニットバスやトイレ、洗面台、給排水配管など、多くの住宅設備に使われる樹脂製品の原料です。
そのため、
「ナフサが不足する」
↓
「住宅設備が不足する」
という連想が広がりました。
しかし振り返ってみると、
実際の供給不足以上に、
「不足するかもしれない」という不安が市場全体を動かした面もあったように見えます。
今回起きたこと
中東情勢の緊迫化
↓
ナフサ不足懸念
↓
メーカーが出荷制限
↓
販売店・工務店が先行発注
↓
納期不安が拡大
↓
現在は正常化へ
メーカー側も最悪の事態に備え、出荷調整や受注制限を行いました。
販売店や工務店も将来の不足を見越して早めの発注を行います。
すると市場全体で「早く確保しなければ」という心理が働き、一時的に納期が混乱します。
これは2020年のトイレットペーパー不足とも少し似た構造です。
実際に不足が起きる前に、不足への不安が先行してしまうのです。

現在のメーカー状況
現在の主要メーカーの状況を見ると、供給体制はかなり改善しています。
- TOTO:通常体制へ移行
- LIXIL:概ね通常対応
- Panasonic:改善傾向
- クリナップ:受注再開
もちろん一部商品では納期確認が必要なケースもありますが、春先のような緊張感は大きく後退しています。
不足は限定的だったが、値上げは現実だった
ただし、ここで誤解してはいけないことがあります。
それは、
「不足しなかった=影響がなかった」
ではないということです。
住宅設備そのものが長期間入手できなくなる事態には至りませんでしたが、価格上昇は実際に起きています。
近年の住宅業界では、
- ユニットバス
- システムキッチン
- トイレ
- 洗面化粧台
- 給湯器
- エアコン
- フローリング
- 合板
- 石膏ボード
- 電線
など、多くの建材や設備が値上がりしてきました。
背景には、
- 原材料価格の上昇
- エネルギーコストの上昇
- 物流費の上昇
- 人件費の上昇
- 円安
があります。
つまり、
「物は入るようになったが、以前の価格に戻ったわけではない」
というのが実際のところです。
価格と供給は別の問題
今回起きたことを整理すると、
供給の混乱は徐々に解消されましたが、価格上昇はそのまま残りました。
私たちが今後考えなければならないのは、
「設備が入るかどうか」
だけではなく、
「どのような価値にお金を使うのか」
ということなのかもしれません。
私たちが感じたこと
今回の件で改めて感じたのは、
市場は「現実」だけでなく「予測」や「感情」にも大きく動かされるということです。
住宅業界でも、
「値上がりするらしい」
「不足するらしい」
「今契約しないと間に合わないらしい」
という情報が飛び交います。
もちろん本当に急ぐべき場面もあります。
しかし今回を振り返ると、
実際の供給不足以上に、
将来への不安そのものが混乱を大きくした側面もあったように思います。
不安に振り回されない住まいづくりを
私たちはリノベーション会社なので、設備がいつ入るのかはもちろん大切です。
でも、それ以上に大切なのは、
焦って決めないこと。
住まいづくりは数十年付き合う大きな選択です。
設備や建材は時間が経てば供給が戻ることがあります。
価格も上がることもあれば下がることもあります。
しかし、
家族で暮らしを考え、
理想の住まいについて話し合い、
納得して決断する時間は戻ってきません。
リノベーションで最も大きな損失は、設備の数万円、数十万円の値上げではなく、
「後悔する選択をしてしまうこと」
ではないでしょうか。
だからこそ私たちは、
不安や噂に流されるのではなく、
今の状況を冷静に見ながら、本当に自分たちらしい暮らしを考える時間を大切にしていただきたいと思っています。
設備は戻る。
でも、住まいづくりの時間は戻らない。
そんなことを感じた、今回のナフサ騒動でした。
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